じぶんの株価

株と最も相性のいい暗号資産ってなに?最強の組み合わせを考察してみた

暗号資産は、専用の取引所だけで売買する存在から、株式と同じ証券口座で組み合わせを考えるアセットへと進んでいます。米SECは2024年1月に現物Bitcoin ETPの上場・取引を承認し、同年5月には現物Ether ETPの上場規則変更を承認しました。投資するための器が整うほど、次の問いが重要になります。「値上がりしそうか」だけではなく、「すでに持っている株式と組み合わせたら、全体はどう変わるのか」です。

そこで、本サイトに掲載する9通貨とS&P500を同じ期間で比較しました。結論は二つです。値動きを小さくすることだけを目指すなら、今回の最小リスク配分は全通貨で0%。暗号資産を5%持つ条件なら、リスク増加が最も小さかったのはBTCでした。一方、過去のシャープレシオを最も高めたのはSOL。「最も安全」と「最も効率よく増えた」を分けると、組み合わせの本質が見えてきます。

Bitcoinから、決済・アプリ・データの基盤へ

Bitcoinの原点は、Satoshi Nakamotoが示した、仲介者に頼らない個人間の電子的な価値移転です。2009年に公開された実装から始まり、取引記録の共有と暗号技術によって、特定の運営者が残高を管理する仕組みとは異なる道を開きました。供給のルールとネットワークが資産評価の軸になり、企業の利益を所有する株式とは違うアセットが誕生したのです。

Ethereumは2015年7月30日に稼働しました。通貨を送るだけでなく、条件に応じて実行されるスマートコントラクトを土台に、さまざまなサービスを動かします。Solanaは2020年にメインネットベータを開始。XRP Ledgerは2012年から続く決済の基盤です。Chainlinkは外部の価格などをブロックチェーンにつなぐオラクルを扱います。同じ「暗号資産」という棚でも、解こうとしている課題は違います。

通貨プロジェクトの主な役割
BTC希少性・個人間の価値移転
ETHスマートコントラクトと分散型アプリ
SOL高処理性能を目指すアプリ基盤
XRPXRP Ledger上の送金・決済
DOGEコミュニティを軸にした個人間通貨
ADAプルーフ・オブ・ステーク型のアプリ基盤
LINK外部データをつなぐオラクルネットワーク
LTC個人間の決済
BCHBitcoinから分かれた電子的な現金

DOGEのコミュニティ性、ADAのアプリ基盤、LTCやBCHの決済志向まで、投資家が期待する材料は多様です。ただし、用途が違うことと、相場で別方向に動くことは同じではありません。資金の流入、金利、リスクを取る意欲に一緒に反応するなら、技術上の違いだけでは株式のクッションになりません。この違いを価格データで確かめます。

同じ5年間、同じドル、同じ配分ルールで比べる

対象はBTC・ETH・SOL・XRP・DOGE・ADA・LINK・LTC・BCHの9通貨です。株式側にはS&P500連動ETFのSPYの配当調整後価格を使用しました。2021年1月〜2025年12月の60か月をそろえ、暗号資産の比率を0〜100%まで0.1ポイント刻みで変えます。例えば5%なら、株式95%・暗号資産5%。毎月、その比率に戻すリバランスを行う計算です。

合成リスクは月次リターンのばらつきを年率化した値。シャープレシオは、米国短期国債の金利を超えたリターンが、値動きに対してどれだけ得られたかを示します。リスクは低いほど、シャープは高いほど、この比較での目的に合います。株式100%の基準は、リスク15.14%、シャープ0.758、年率複利リターン14.34%でした。

最小リスクは9通貨すべて「追加しない」

全配分を比較した合成リスク

横軸を端から端まで見ると、暗号資産の比率を高めるにつれて合成リスクが上がります。すべての通貨で最小点は左端の0%でした。暗号資産同士を比べる前に、株式だけの基準線を超えている事実を読む必要があります。今回のデータから「暗号資産を混ぜれば株式の値動きが小さくなる」とは結論できません。

暗号資産0〜10%の合成リスク

少量の配分を拡大しても結果は変わりません。その理由は、相関だけでなく暗号資産自身の値動きが大きいためです。合成分散は、(1−w)²σ株²+w²σ暗号²+2w(1−w)ρσ株σ暗号。株式だけの状態から少し足してリスクを下げるには、ρ×σ暗号がσ株を下回る必要があります。今回の9通貨は、この条件を満たしませんでした。

分かりやすいのがDOGEです。株式との相関は0.116と9通貨で最も低いのに、5%配分時の合成リスクは29.36%で最大。2021年の急騰を含む非常に大きな月次変動が効いています。「違う動きをするから分散になる」という一段だけの説明では足りません。違う動きをすることと、その動きの大きさを同時に測るのがポートフォリオ分析です。

5%組み入れるなら、リスク増加の小さい順は?

最小リスク順位は全通貨が0%で同点なので、ここでは株式95%・暗号資産5%という同じ条件で、合成リスクの低い順に並べます。リスクを下げたランキングではなく、追加リスクを抑えたランキングです。

5%配分の順位通貨株式との相関合成リスク増加幅(pt)シャープ
1BTC0.48816.10%+0.960.793
2LTC0.52316.32%+1.180.692
3LINK0.32216.38%+1.240.769
4ETH0.53217.06%+1.930.806
5BCH0.44517.69%+2.550.773
6XRP0.27518.18%+3.040.898
7ADA0.28018.86%+3.720.818
8SOL0.28719.95%+4.821.075
9DOGE0.11629.36%+14.220.906

BTCは15.14%から16.10%への上昇で、増加幅は0.96ポイント。LTCとLINKが続きます。ETHは17.06%、SOLは19.95%でした。BTCの相関は0.488で、XRPやSOLより高い。それでも合成リスクが低いのは、単独の変動がそれらより小さかったからです。私なら「株式を中心に暗号資産も観察する」ボードでは、まずBTCを比較の軸に置きます。低相関の通貨だけを探すより、追加した際の全体の振れを読む方が実用的です。

シャープレシオの最大点はSOL。ただし、目的はリスク削減とは違う

2021〜2025年の配分別シャープレシオ

2021〜2025年では、SOLの11.5%配分でシャープが1.134となり、9通貨の各最大点の中でも最も高くなりました。その合成リスクは30.39%。株式だけの約2倍です。値動きを小さくしたのではなく、より大きな値動きに見合う平均超過リターンが、この期間に得られた組み合わせです。

BTCの最大点は11.3%でシャープ0.806、リスク17.85%。ETHは10.1%でシャープ0.817、リスク19.67%です。SOLの最大点の年率複利リターンは39.19%でしたが、月末ベースの最大下落は34.63%。シャープは損失の深さを直接制限する指標ではありません。高い数値を見つけたら、次にリスクと下落の大きさを確認する順番が大事です。

通貨2021〜25年の最大点最大シャープ2023〜25年の最大点最大シャープ
BTC11.3%0.80613.7%1.547
ETH10.1%0.8170.0%1.402
SOL11.5%1.1344.8%1.506
XRP7.5%0.9081.8%1.436
DOGE2.6%0.9480.0%1.402
ADA4.0%0.8200.0%1.402
LINK3.4%0.7712.8%1.422
LTC0.0%0.7580.0%1.402
BCH3.4%0.7762.7%1.442

この表の最大点は、各期間の全データを使って後から選んだ配分です。期間の開始時に知ることのできた投資サインではありません。2021年のSOLの急拡大を含む結果を、そのまま今後の最適比率に置き換えるより、期間を変えてどこまで順位が残るかを見ます。

直近3年に切り替えると、BTCの立ち位置がはっきりする

2023〜2025年の合成リスク

2023〜2025年に限定すると、株式だけのリスクは11.95%。5%配分時のBTCは12.77%で、再び最も増加が小さい通貨でした。この期間でもリスクの最小点は全通貨0%です。「BTCならリスクを減らせる」ではなく、「暗号資産を持つ条件の中では、追加リスクが小さかった」という評価が二つの期間で共通します。

2023〜2025年の配分別シャープレシオ

株式だけのシャープは1.402。BTCは13.7%配分で1.547、SOLは4.8%で1.506が最大点となりました。5年間ではSOLがシャープ首位、直近3年ではBTCが首位。ETH・DOGE・ADA・LTCは直近3年の最大点が0%となり、株式だけを上回るシャープにはなりませんでした。相性は通貨名に固定された性質ではなく、価格の動きと、その時期のリターンの組み合わせです。

期間配分合成リスクシャープ
2021–2025株式のみ15.14%0.758
2021–2025BTC 5%16.10%0.793
2021–2025ETH 5%17.06%0.806
2021–2025SOL 5%19.95%1.075
2021–2025DOGE 5%29.36%0.906
2021–2022株式のみ18.84%0.183
2021–2022BTC 5%19.90%0.157
2021–2022ETH 5%21.39%0.328
2021–2022SOL 5%25.78%0.746
2021–2022DOGE 5%42.89%0.875
2023–2025株式のみ11.95%1.402
2023–2025BTC 5%12.77%1.497
2023–2025ETH 5%13.51%1.347
2023–2025SOL 5%15.24%1.506
2023–2025DOGE 5%15.40%1.261

2021〜2022年には初期の急騰と、その後の大きな下落が同居しています。SOL単独の月末最大下落は95.27%に達しましたが、同じ期間のシャープ最大点はSOL100%でした。少数の強烈な上昇月が平均を押し上げるためです。この対比こそ、シャープの最大値だけで実運用の配分を決めない理由になります。リスクを増やしてでも成長を取りたいのか、株式の揺れを和らげたいのか。問いを決めれば、同じ表の読み方を取り違えません。

このボードでの見方:同時下落と、強さの持続を追う

S&P500とBTCを隣に置き、ETHとSOLを足してみてください。米国株の取引中に株も暗号資産も下がるなら、その場面ではリスクを取る資金が一緒に引いている、と読む入口になります。株が戻ってもBTCが戻らない、BTCが戻ってもSOLだけ弱い、といった差は、株式市場全体の材料と暗号資産固有の材料を分けて調べる手がかりです。

ただし、このボードの暗号資産は24時間の変化、株式は取引セッションと前日基準で表示されます。印字された変化率の基準時点は同じではありません。米国市場が開いている共通時間帯の動きを追い、休日に動いた暗号資産と休場中の株式を同じ一日の相関だと扱わないこと。短期の逆方向の動きが何度か見えても、今回計算した数年の月次相関とは別の観察です。

シャープが改善する組み合わせは、毎日逆向きに動く必要はありません。BTCの例では、株と同方向に動く月もありながら、得られた超過リターンが追加リスクを補いました。グラフでは上昇の強さだけでなく、下落時に一緒に崩れる頻度と戻りの持続を見ます。それを配分の数字とつなげると、「好きな通貨を増やす」から「全体の性質を設計する」へ一歩進めます。

結論:守りの最強は株式のみ。暗号資産を加える比較軸はBTC

今回の9通貨では、リスク最小という目的の勝者は暗号資産0%でした。追加すると決めたうえで5%同士を比べるならBTCが首位。過去5年のシャープ首位はSOL、直近3年はBTCです。私の結論は、暗号資産を株式の守りとして足すのではなく、株式を主軸にした成長の追加枠として、そのリスクを数字で管理すること。最強の組み合わせを考える第一歩は、何を最強と呼ぶのかを決めることです。

データと計算方法

Yahoo FinanceのSPY配当調整後日次価格と、各通貨のUSD日次終値を使用。2020年12月末を起点に2025年12月末までの月次リターンを計算しました。各月の株式の最終取引日と同じ日付の暗号資産価格を採用し、株式が休場する暦月末の土日だけを暗号資産側に付け足すことはしていません。暗号資産の日足はUTC終値、株式は米東部終値で、同じ日付でも3〜4時間の時刻差があります。完全同時刻の高頻度相関ではなく、月次の配分比較です。

月次リターンrを使い、配分wの合成リターンは(1−w)r株+wr暗号。リスクは標本標準偏差×√12、シャープは月次超過リターンの平均÷その標本標準偏差×√12。無リスク金利にはFREDの米国3か月国債TB3MSの前月年率を12で割って使用しました。年率複利は累積倍率の12/月数乗−1、最大下落は初期値を含む月末資産額の過去最高値から計算しています。日中・日次の最大下落はこの月末値より深くなり得ます。

売買費用・税金・ステーキング報酬・貸付収益は含めません。SPYの配当は調整価格に含みます。日本円建ての為替効果も含めません。掲載中の9通貨の比較で、消滅した通貨まで含めた暗号資産業界全体の成績ではありません。集計・計算日:2026年10月11日。

データと参考資料

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